ケトジェニックダイエット、糖質制限ダイエットが流行り出してかなりの時間が経ちました。
それでも、このダイエット方法は依然大人気です。
街中にも、糖質オフ商品が溢れています。
「ケトジェニックダイエットは短期ですぐ効果が出る!」
「ケトジェニックダイエットなら、糖質をとらなければいくら食べてもいい!」
「脂質と糖質で脂肪になるのだから、糖質をとらなければ脂肪は身体につかない!」
「糖質を控えるだけで、誰でも簡単!」
というポジティブな声をよく聞きます。
これらは本当に真実なのでしょうか?
一つずつ、確認していきましょう。
ケトジェニックダイエットは短期で効果が出るのか
ケトジェニックダイエット で1か月で〇kgも痩せました、というのは広告などでよく見るコメントです。これはある意味正解で、ある意味不正解です。
私たちは普段、糖から変換されたグリコーゲンを主なエネルギー源として活動しています。
しかしダイエット時は消費カロリー>摂取カロリーにしているため、どうしてもエネルギーが枯渇します。そうした場合、筋肉もしくは脂肪を分解して、エネルギーにします。
通常の状態では、脂肪が分解されると脂肪酸とグリセロールとなり、一部が脂肪に戻り、一部がエネルギーとして使われ、その過程で脂肪が減少していくというのが、痩せていくサイクルです。
これがケトジェニックダイエットだと違う反応が起こります。
糖質を制限し、脂質をしっかりとっている状態だと、肝臓ではケトン体が発生します。
このケトン体は水溶性であり、脂肪酸と比較すると効率よく身体の中(脳においても)で使われる成分になっています。
この状態をケトーシスと呼び、ケト―シス状態の身体ではケトン体が作られやすくなっているので、脂肪が分解された脂肪酸とグリセロールが再び脂肪に戻りにくくなり、脂肪が優先的に減っていく、というのがケトジェニックダイエットの仕組みです。
すなわち、脂肪が燃えやすい状態になるということです。
特に燃えるための燃料が豊富にある、肥満体型の方のダイエットに有効です。
ケトーシスへの導入がうまく行くと、短期間で効率的に脂肪を減らすことができます。
ですが、ケトジェニックダイエットを開始してからケトーシスになるまでの間は、ケトーシスの状態に入っていないため、通常この期間では脂肪はそれほど落ちないはずです。
ですが、実際には体重は大きく減少します。
これは、体内のグルコースが枯渇することで、そのグルコースがため込んでいた水分も排出され、その影響で体重が低下するからです。
参考→ 一日で太った? 痩せた? それは水分量の変化ではないですか?
気を付けなくてはいけないのは、この段階では脂肪は落ちていないのです。
そのため、実際に痩せたかどうかについては、体内のグルコースを使い切って水が抜けた状態から、ケトーシスに入り、そこから脂肪がどれだけ落ちたか、で考える必要があります。
ですが、ケトーシスに入れば脂肪が消費されやすくなるのも事実。
そのため、ケトジェニックダイエットは短期で効果が出るというのは正解なのですが、多くの人が成果だと思っている初期の体重減少は、ただ水分が抜けているだけだから成果が出ているわけではないよ、ということになります。
ケトジェニックダイエットならいくら食べてもいい?
ケトジェニックダイエットなら我慢せずにいくら食べてもいい、という話をよく聞きますが本当でしょうか?なお某ザップでは、実際のところは「〇〇kcal以内なら、糖質を取らなければ何を食べてもいい」という指導をされるそうです(伝聞ですが)
ケトーシス状態で脂肪が燃えやすくなるのは事実ですが、すべてのカロリーが消費されるわけではありません。
そのため、ケトーシス状態においても、痩せるためには消費カロリー>摂取カロリーの原則は守らねばなりません。
ケトジェニックダイエットにおけるPFCバランスは
P(たんぱく質) 30%
F(脂質) 60%
C(糖質) 10%
と言われますが、カロリーに関しては基本的にPの量を元に算出するとよいでしょう。
すなわち、筋トレをしている人であれば、Pを体重×2~2.5g/kg摂取し、Fのカロリーをその2倍とり、Cは最低限に努めます。
その状態で痩せないのであれば、たんぱく質の量を減らしてそれに合わせて脂質と糖質の量を減らしましょう。
もしくは、体重×35~40(kcal/g)のカロリーを目安として、そこからPFCバランスに合わせて配分する方法があります。
どちらにせよ、脂質が全摂取カロリーの60%以上になることが大事です。
なお、ケトーシス導入期(ケトーシスの状態に入る前~入るまで)においては、Fの割合を80%ほどにするのが効果的です。
その際には、糖質をほぼゼロとし、たんぱく質を減らすか、プロテインをBCAAに置き換えるなどするとよいでしょう。
以上の通り、糖質制限においてもカロリー計算はする必要があるのです。
ただ、油は消化が悪いので、カロリー計算して食べてもお腹が空かない、というメリットはあるかもしれません。
(グルコースは、脂肪細胞内でグリセロールに転換された後、脂肪酸と合成されて中性脂肪になります)
そのため、糖質を取らなければ脂肪にならないという言説をよく見かけますが、生命の身体はそこまでヤワにできていません。
脂肪というのは緊急のエネルギータンクとして身体が必要としている機能なので、我々がどんなに嫌っていても、身体はそれを作り出そうとしてくれます。
ケトーシス状態になるには当然脂質を多くとり、かつ筋肉の維持のためにはたんぱく質を多くとる生活をすることになるのですが、肝臓では脂肪から分解されたグリセロールや、たんぱく質から分解された糖原生アミノ酸などから、糖(グルコース)を生成することができます。
そのため、脂肪酸+グルコースで中性脂肪が合成され、立派な体脂肪として身体に溜まっていきます。
単純に糖質をゼロにすると痩せる、というわけではないのがわかったでしょうか。
また、仮に糖質/脂質がほぼゼロの高たんぱく食にしたと考えましょう。
この場合、糖由来のグルコース、グリコーゲンは枯渇し、ケトン体も発生しません。
そうすると何が起こるのかというと、筋肉と脂肪が分解され、グリセロールや、たんぱく質から分解された糖原生アミノ酸などから、グルコース)を生成し、エネルギーとします。
これを糖新生と言います。
このような状態では、脂肪だけでなく筋肉もどんどんと減っていきます。
筋肉が減ると代謝も下がりますので、消費カロリーは低下し、ますます摂取カロリーを抑える必要があり、痩せにくい身体ができてしまいます。
この状態は、ケトーシスに入れない中途半端な糖質制限でも起こります。
最初の1週間くらいは水分で体重が減ったが、その後は体重減少が停滞した上で身体もだるい…のような症状の方は、糖新生の状態に体が入っているを考えてください。
この状態から抜け出すには、一度糖質をしっかりとって通常の糖代謝によるエネルギーを利用した身体に戻す必要があります。
(糖新生優位の状態から直接ケトーシスに移行するのは困難です)
つまり、糖代謝によるエネルギー生成ではなく、脂質代謝によるエネルギー生成を行う必要があります。
しかし、ケトーシスへの入りやすさにはその人の体質が影響し、すぐ入れるという人もいれば、逆に全然入れずに糖新生を起こしてしまう人もいます。
また、通常の栄養状態ではありあえない状況に身体を置くため、通常のダイエットよりもサプリの力を借りることになります。
私がケトーシス導入期に使用したサプリメントは、以下の通りです。
・MCTオイル
・αリポ酸
・カルニチン
・アルギニン
・EAA(BCAAの代用)
・亜鉛
・マグネシウム
・マルチビタミン
・難消化性デキストリン
また、ケトーシスに入ったかの確認のために、ケトスティックと呼ばれる試験用紙を使用しました。
ここまで使う必要はないとしても、ケトジェニックダイエットのためには、
・MCTオイル
・ケトスティック(もしくは別のケトーシス測定試験機)
は用意するのが、失敗しないための最低限の準備だと考えます。
2つなら大体5000円くらいです。
また、ケト食では良質な油から不飽和脂肪酸を摂取する必要があるため、青魚、オリーブオイル、アボカド、ナッツ類を多く取るのが理想的です。必然的にコストがかさむのが容易に想像できるでしょう。
脂肪酸をエネルギーにするにはカルニチンを必要としますが、サプリがないならば摂取のために牛肉を多く食べることも避けられません。
真面目にやろうとするとそのくらい大変なのが、ケトジェニックダイエット/糖質制限ダイエットなのです。
ここまで散々ネガティブなことを書いてきましたが、現在この記事を書いている段階で私はケトジェニックダイエットを実行しているし、身体はケトーシスの状態を維持しています。
ケトジェニックダイエットは細かいことを考え出すと複雑ですが、あなたがケトーシスの状態に入りやすく、消費カロリー以下の摂取カロリーで日々を過ごすことにストレスを感じない人なら、実はラフな考えでもできてしまうのです。
しかし、あなたがケトーシスに入っているのか、糖新生の状態なのか、それを判断できるのでなければ(判断してくれる人や、試験紙、試験装置が無いのならば)、ケトジェニックダイエットはおすすめできません。
糖新生の状態を長く続けるのは、それだけ危険なのです。
逆に、ケトーシスを判断できる環境にあるなら、自分にケトジェニックダイエット/糖質制限ダイエットが向いているかどうか一度試してみて、向いているなら適度に(1期間2~4週間程度)取り入れるのはダイエットの継続に有効であると考えます。
ケトジェニックダイエットは安易に取り組むのは危険ですが、その正体を知ってダイエットに取り入れれば、ダイエットをよりスムーズに行うために役立つ、有効な手段となってくれるでしょう。
なお、ケトーシス導入期(ケトーシスの状態に入る前~入るまで)においては、Fの割合を80%ほどにするのが効果的です。
その際には、糖質をほぼゼロとし、たんぱく質を減らすか、プロテインをBCAAに置き換えるなどするとよいでしょう。
以上の通り、糖質制限においてもカロリー計算はする必要があるのです。
ただ、油は消化が悪いので、カロリー計算して食べてもお腹が空かない、というメリットはあるかもしれません。
糖質をとらなければ脂肪は身体につかない?
体脂肪は中性脂肪から構成されているのですが、中性脂肪は、脂肪酸+グルコースから合成されます。(グルコースは、脂肪細胞内でグリセロールに転換された後、脂肪酸と合成されて中性脂肪になります)
そのため、糖質を取らなければ脂肪にならないという言説をよく見かけますが、生命の身体はそこまでヤワにできていません。
脂肪というのは緊急のエネルギータンクとして身体が必要としている機能なので、我々がどんなに嫌っていても、身体はそれを作り出そうとしてくれます。
ケトーシス状態になるには当然脂質を多くとり、かつ筋肉の維持のためにはたんぱく質を多くとる生活をすることになるのですが、肝臓では脂肪から分解されたグリセロールや、たんぱく質から分解された糖原生アミノ酸などから、糖(グルコース)を生成することができます。
そのため、脂肪酸+グルコースで中性脂肪が合成され、立派な体脂肪として身体に溜まっていきます。
単純に糖質をゼロにすると痩せる、というわけではないのがわかったでしょうか。
また、仮に糖質/脂質がほぼゼロの高たんぱく食にしたと考えましょう。
この場合、糖由来のグルコース、グリコーゲンは枯渇し、ケトン体も発生しません。
そうすると何が起こるのかというと、筋肉と脂肪が分解され、グリセロールや、たんぱく質から分解された糖原生アミノ酸などから、グルコース)を生成し、エネルギーとします。
これを糖新生と言います。
このような状態では、脂肪だけでなく筋肉もどんどんと減っていきます。
筋肉が減ると代謝も下がりますので、消費カロリーは低下し、ますます摂取カロリーを抑える必要があり、痩せにくい身体ができてしまいます。
この状態は、ケトーシスに入れない中途半端な糖質制限でも起こります。
最初の1週間くらいは水分で体重が減ったが、その後は体重減少が停滞した上で身体もだるい…のような症状の方は、糖新生の状態に体が入っているを考えてください。
この状態から抜け出すには、一度糖質をしっかりとって通常の糖代謝によるエネルギーを利用した身体に戻す必要があります。
(糖新生優位の状態から直接ケトーシスに移行するのは困難です)
糖質を控えるだけで誰でも痩せるか?
ここまでの記事で簡単ではないと薄々感じている方が多いと思いますが、このダイエットでは体がケトーシスの状態に入る必要があります。つまり、糖代謝によるエネルギー生成ではなく、脂質代謝によるエネルギー生成を行う必要があります。
しかし、ケトーシスへの入りやすさにはその人の体質が影響し、すぐ入れるという人もいれば、逆に全然入れずに糖新生を起こしてしまう人もいます。
また、通常の栄養状態ではありあえない状況に身体を置くため、通常のダイエットよりもサプリの力を借りることになります。
私がケトーシス導入期に使用したサプリメントは、以下の通りです。
・MCTオイル
・αリポ酸
・カルニチン
・アルギニン
・EAA(BCAAの代用)
・亜鉛
・マグネシウム
・マルチビタミン
・難消化性デキストリン
また、ケトーシスに入ったかの確認のために、ケトスティックと呼ばれる試験用紙を使用しました。
ここまで使う必要はないとしても、ケトジェニックダイエットのためには、
・MCTオイル
・ケトスティック(もしくは別のケトーシス測定試験機)
は用意するのが、失敗しないための最低限の準備だと考えます。
2つなら大体5000円くらいです。
また、ケト食では良質な油から不飽和脂肪酸を摂取する必要があるため、青魚、オリーブオイル、アボカド、ナッツ類を多く取るのが理想的です。必然的にコストがかさむのが容易に想像できるでしょう。
脂肪酸をエネルギーにするにはカルニチンを必要としますが、サプリがないならば摂取のために牛肉を多く食べることも避けられません。
真面目にやろうとするとそのくらい大変なのが、ケトジェニックダイエット/糖質制限ダイエットなのです。
結局、ケトジェニックダイエットやるべき?
ここまで散々ネガティブなことを書いてきましたが、現在この記事を書いている段階で私はケトジェニックダイエットを実行しているし、身体はケトーシスの状態を維持しています。
ケトジェニックダイエットは細かいことを考え出すと複雑ですが、あなたがケトーシスの状態に入りやすく、消費カロリー以下の摂取カロリーで日々を過ごすことにストレスを感じない人なら、実はラフな考えでもできてしまうのです。
しかし、あなたがケトーシスに入っているのか、糖新生の状態なのか、それを判断できるのでなければ(判断してくれる人や、試験紙、試験装置が無いのならば)、ケトジェニックダイエットはおすすめできません。
糖新生の状態を長く続けるのは、それだけ危険なのです。
逆に、ケトーシスを判断できる環境にあるなら、自分にケトジェニックダイエット/糖質制限ダイエットが向いているかどうか一度試してみて、向いているなら適度に(1期間2~4週間程度)取り入れるのはダイエットの継続に有効であると考えます。
ケトジェニックダイエットは安易に取り組むのは危険ですが、その正体を知ってダイエットに取り入れれば、ダイエットをよりスムーズに行うために役立つ、有効な手段となってくれるでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿